世界自然遺産・西表島より新種のゴキブリを発表
世界自然遺産・西表島より新種のゴキブリを発表
~森林に生息する大型のゴキブリを発見、分解者として重要なゴキブリ類の多様性解明に近づく~
発表のポイント
・八重山列島西表島から新種のゴキブリを発表
・世界自然遺産として登録された西表島の生物多様性解明を一歩進めた
・森林で分解者として有益な森林性ゴキブリ類の多様性解明に貢献
ゴキブリは現在日本に63種が確認されています。害虫としてのイメージが強い生き物ではありますが、実際に民家などに侵入する種はわずかで、ほとんどのゴキブリは野外で生活をしており、分解者として生態系の中で重要な役割を果たしています。
今回、磐田市竜洋昆虫自然観察公園の柳澤静磨職員、三重県伊賀市の大北祥太朗氏、株式会社シー・アイ・シーの小松謙之研究開発部部長らの研究チームによって、八重山列島西表島から新種のゴキブリが発見され、アカズミゴキブリPeriplaneta kijimuna (ペリプラネタ・キジムナ)として命名、2021年12月30日に日本昆虫分類学会誌『Japanese Journal of Systematic Entomology』にて発表されました。西表島は2021年7月に「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」として世界自然遺産登録を受けています。今回の研究により、西表島における生物多様性の解明が一歩進みました。
アカズミゴキブリはオスの体長が39.5mmほど、翅も含めた全長が42.1~45.3mmの大型のゴキブリで、森林内でのみ見つかっています。和名のアカズミは前胸背板の色彩から、学名のPeriplaneta kijimunaは、森林内の樹幹上で見つかっていることや、前胸にある赤い斑紋、赤みのある翅をもつことから、沖縄県に伝わる赤い髪を持った木の精霊、キジムナーに由来しています。
ゴキブリは多くの方から嫌われている生き物です。しかしながら、自然の中で彼らは多くの生き物と関わり合いつつ生活をしている生物多様性の大事な1ピースです。この研究が、ただ嫌うのではなく、彼らの本当の姿や生物多様性とはなにかについて考えを深めていただく機会になれば幸いです。
磐田市竜洋昆虫自然観察公園では1月7日より新種・アカズミゴキブリの特別展示を行う。生体の展示や、パネルでの解説を予定しています。
論文: Yanagisawa, S., Ohgita, S. & Komatsu, N.. 2021. Periplaneta kijimuna sp. nov. (Blattodea Blattidae) from Iriomote-jima, Japan. Japanese Journal of Systematic Entomology, 27(2): 224-226.